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そして。
外にいるルカやディロアに聞こえないよう声の大きさを落として喋り始めた。
「あなたはこのままでいいの?」
「え?」
長い前髪のせいで顔はあまり見えないけど、驚いているのは雰囲気でわかる。
「あなたにも、勇者の血が流れてる」
「うるさいな。俺と兄貴は違うんだ」
「ちがうくない!あなたも勇者になれる!」
さらに私は声を落とした。
「私はね、早く勇者に倒されたい」
「はあ?お前魔王だろ?」
「だから、魔王なんて好きでなったんじゃないの。早く倒してほしいの。でも勇者は魔界への長い旅に出てしまったんでしょう?だから、あなたに私を倒してほしい。早くエンディングを迎えたいの!だからお願い!なるべく人思いに」
「すまない、ちょっと頭が混乱してきた、訳が解らない」
「私にはあなたが必要なの!!!」
「!?!?」
思わず大声をだしてしまった。
遠くで人が倒れる音がして…ルカの笑い声が…ディロアが倒れたようだ。
ごめんディロア。
むしろ倒れてくれて好都合。
「私の勇者になって下さい!」
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