3人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
そうして私達はユーリスを連れて魔界へ帰ってきた。
ディロアは倒れていたし、ルカには「ユーリスを勇者が来たときの人質にしまーす」と言って無理矢理納得させた。
始まりの町の村人達にはユーリスをもらうことを条件に二度と襲わない約束をした。
村人達は何度もユーリスにそれでいいのか、と言っていたけど、ユーリスはただただダルそうに首を縦に降るだけだった。
なんて薄情な村人なのだろう…
せめてこの街にいるより楽しい思いさせてあげたいな…
「結局、勇者エリクには会えませんでしたね♪」
ルカがさして残念でもなさそうにいつものニコニコ笑顔で呟く。
「うん。でも、ユーリスを手に入れられたから、よし」
私の隣にいる、私より少し背の高いユーリスを見上げて、そっと、ユーリスにしか聞こえない声で呟いた。
「大丈夫。絶対後悔させないから、信じてね」
ユーリスが、ため息をつきながら頷くのを確認してから私は満足げに微笑むのだった。
最初のコメントを投稿しよう!