三井由奈の1日

4/7
前へ
/37ページ
次へ
ディロアは、キレイだ。 って言うか、この城の住民たちは美形すぎる。 その常識離れした美しさには当分慣れそうにない。 我が妄想ながらアッパレである。 「…いただきます」 私は恥ずかしさを書き消すように目の前に用意されたオムライスを口に運んだ。 ふわっ、とした卵にホカホカのチキンライス。 派手さはなくて素朴なんだけど、あったかくて美味しくて思わず口から「美味しい」と声が漏れた。 「それは良かったです!!!」 これ以上ないほどのキラキラエフェクトスマイルを浮かべられ思わすたじろぐ。 どんな言葉を発したら良いか分からずにそこで会話は止まって… 食堂にはむなしく、私がオムライスを食べる音だけが響く。 その沈黙に耐えられなくて恐る恐る私は口を開いた。 「ディロアって、身長何センチなの?」 「私は175センチですよ。155センチの由奈様と丁度20センチ差ですね」 「な、何で私の身長知ってるの!?」 「側近ですから」 「じゃあルカの身長は?」 「さぁ。180センチなんて、私は知りません」 「そ、そう」 ルカ、身長高いなと思ってたけど180センチもあったんだ… ニコーッと笑うディロアが、なんかちょっと怖い。 ふ、触れてはならなさそうである。 「それより由奈様。今日は魔界学と魔法の勉強をしていただきますよ」 「え?」 「魔王たるもの、最低限の知識は必要ですからね」 「…したくないなあ」 勉強と聞くだけで体が拒否反応を起こしてしまう。 出来れば勘弁願いたい…! 「魔王たるものそんなことではいけません!私と一緒に頑張りましょう」 「ディロア。魔王さま嫌がってるよ♪」 バッと振りかえると、目にはいったのは赤い長髪と怪しい光が宿った赤い瞳。 常日頃から何を考えているのか分からない、私のもう一人の側近(ということになっている)ルカだ。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加