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「……走りたい。」
私の口からはそう言った答えが出た。
「私この病気のせいでからだが弱くて…
力が付くように親には肉たくさん食えって言われたり、
外に出れないから五月蝿い蝉の声とかしか知らなくて…
絵を描いて暮らしてたから!!」
女医さんが驚いた顔をしたと思ったら、いつのまにか優く笑ってくれた。相変わらず目は死んでるけど。
「だから先生!!
お願いだから助けて!!
もう先生が助けてくれなかったら、誰も助けてくれないんだよ!!
お金もう少ししかないけど頑張るから!!
お願いだから…」
体が恐怖でガクガク震えて、ボタボタと涙が落ちた。
「うん、分かった。
病気、綺麗なさっぱり無くしてやるからな。」
そんな私を女医さんが抱き締めてくれた。
女神様に見えた。
でもやっぱり目が死んでいた。
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