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「魂フライいかがです~?」
「衆合地獄のドスケベ蛸はいかが~?」
ワイワイガヤガヤ 騒がしい祭りの日。
私はいつもと同じ着物を着ている。
我ながら味気ないと思うものの、
さすがに現世の服を着ようとは思わない。
それだけ今日は特別な日なのだ。
いつもより凛々しくと見えるように。
能面のような表情をしないように。
今日まで頑張って覚えた、あれやこれ達。無駄にしたくない。
白澤さんや桃太郎さんは覚えましたかね?
私とて、仕事の合間を縫って覚えたのですから、覚えられない訳がないですよね。
「鬼灯!」
モコモコフワフワな綿飴のような頭を持った人影がかけてくる。
白豚さんだ。
「僕の名前は白澤!」
ムスと唇を尖らして抗議する姿は私よりも年上だと解っていても、
歳相応かもしくは年下のように見える。
と言うよりは幼いって言った方が解り易いか。
未だに、鬼灯のために買ってきたのにぃとブーたれてる。
白澤さんの両腕には焼きそば唐揚げ、烏賊のポッポ焼き綿飴、カキ氷にお好み焼き…とにかく色々。
「有難うございます」
私のために走り回ってくれたと思うと、なんだか胸辺りが暖かくて居心地がいい。
ここが地獄だと忘れるくらい。
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