第3章

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「魂フライいかがです~?」 「衆合地獄のドスケベ蛸はいかが~?」 ワイワイガヤガヤ 騒がしい祭りの日。 私はいつもと同じ着物を着ている。 我ながら味気ないと思うものの、 さすがに現世の服を着ようとは思わない。 それだけ今日は特別な日なのだ。 いつもより凛々しくと見えるように。 能面のような表情をしないように。 今日まで頑張って覚えた、あれやこれ達。無駄にしたくない。 白澤さんや桃太郎さんは覚えましたかね? 私とて、仕事の合間を縫って覚えたのですから、覚えられない訳がないですよね。 「鬼灯!」 モコモコフワフワな綿飴のような頭を持った人影がかけてくる。 白豚さんだ。 「僕の名前は白澤!」 ムスと唇を尖らして抗議する姿は私よりも年上だと解っていても、 歳相応かもしくは年下のように見える。 と言うよりは幼いって言った方が解り易いか。 未だに、鬼灯のために買ってきたのにぃとブーたれてる。 白澤さんの両腕には焼きそば唐揚げ、烏賊のポッポ焼き綿飴、カキ氷にお好み焼き…とにかく色々。 「有難うございます」 私のために走り回ってくれたと思うと、なんだか胸辺りが暖かくて居心地がいい。 ここが地獄だと忘れるくらい。
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