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「ふふふ、どう致しまして」
といいつつ、白澤さんは近くにある岩辺に腰掛ける。
ガサゴソと買ったばかりのお好み焼きを取り出す。
「ハイ、あーん」
語尾にハートマークがつけたように甘い空気を作り出すが、
この際気にしない。
周りにはカップルもチラホラといる。
こちらに気付く者どもは居ないでしょう。
私は立ったままなのも行儀が悪いので、白澤さんの隣に腰掛け、
箸を持ったまま今か今かと待ちわびるように自身の口を開ける。
ハフハフ。んーこのお好み焼き美味しい。
誰が作ったのでしょう?
まぁ、美味しけりゃ何でもいいか。
「美味しい?」
「ええ。けど白澤さんの手料理には負けますね」
「///…謝謝」
素直に褒めると瞬く間に頬を染める白澤さん。
どころ構わず誰かにその笑顔を向けないで下さいね。
私だけを映せばいいのです。
私だけを。
そうすれば貴方は、
貴方だけの世界に私だけを見て下さるでしょう?
何も考えずに私だけを…ね。
って我ながら恥ずかしいですね。
どうも白澤さんと一緒にいると、
良くて和み、悪くてほぐされるんですよね。
あんなに喧嘩が絶えなかったのに。
あんなに互い同士 嫌いだと言い続けたのに。
今は不思議と恋仲になって。
何がキッカケなのか忘れてしまいましたが、
隣に誰かが居る幸せを知った。
居ないと探してしまうくらいには心配になる。
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