第5章

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「さけだーさけだー♪」 「こんな時間から盛ってるなんて暇ですか?いや、ほぼ毎日暇を持て余してますね」 金棒を戸の近くにかける。 「失礼な。いーじゃん飲みたい気分なんだよ。 そういえば今日 納品日だっけ?」 カレンダーを捲って確認するが、まだ日数はある。 はて?この鬼は何しに来たのか? 「白澤さん…今日が何の日か解りますか?」 「知らない」 「それでも知識の神ですか」 呆れ顔でドンと酒瓶を作業台に置く。 「どうしたの、これ?」 徳利をひっくり返さんばかりの大きな酒瓶に目を丸くする。 それに…「これ日本酒だよね?」 「良く解りましたね。この間、出張先が酒屋というのもあって色々な酒を飲み比べまして。 私好みと白濁好みの酒をチョイスして来ました。これがそうです」 「僕の名前は白澤な。 毎回思うんだけど、このやり取り化物語の主人公と幼女のやり取りに似てる気がするのは気のせい?」 「かみまみまー(バリトン)」 「いや、お前がやっても可愛くない。寧ろ怖いし引くわ」 招き猫風にやっても効果ないぞ。 「チッそれで何の日か解りましたか?」 「だからそれさっき言ったよな、知らないって」 「この酒瓶 見ても解らないなんて…どれだけ頭綿飴なんですか」 「お前本当に失礼な奴だな。 言っとくけど、何でもは知らないぞ。知ってる事だけ知識を与えてるのに過ぎない」 「つまり宝の持ち腐れって事ですか」何と勿体無い。 「お前、言葉の意味解ってて使ってる? 役に立つ物を持ちながら使わないでしまって置く事。 才能・手腕がありながら、それを活用しない事。解った?」
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