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「傷口が広がっちゃうから、じっとしててね」
月香ちゃんはピンセットで僕の体をムニュッと摘むと、僕の皮膚は凄く柔らかいのでピッと切り込みが入り、ドロッとした何かが体からはみ出た。
“痛い、痛いって月香ちゃん!”
あまりにも痛かったので体をバタバタさせるけど、
「暴れないで。体のお肉が全部出ちゃうよ」
月香ちゃんはモソモソ動く僕の体を優しく手で持ち上げて葉っぱの上に戻した。
痛かった。物凄く痛かった。けど、体の中の邪魔なものが出きったのでスッキリした。
僕は此処までして貰っているのに、僕からは何もしてあげられない。
助けると行ったのに……。
“月香ちゃん、僕に、出来ること、あるかな?”
「ずっと一緒にいて。なめ太郎君」
月香ちゃんはそう言った翌日。
毎日のように紫陽花の前に来るようになり、僕達の体のお掃除を一生懸命やってくれた。
虫をどうしたのかは判らないけど。
僕はそんな月香ちゃんの為に唯一出来る事をした。ずっと一緒にいる事。
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