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月香ちゃんは、僕をピンセットでひょいと摘むと自分の部屋の中に入れてくれた。
其処に大きな入れ物があり、僕の同胞が沢山入っている。
月香ちゃんは僕だけで無く、同胞にも優しくしてくれていたんだ。
僕もその中に入れてくれる。
ヌメヌメして狭いけれど、これなら何時でも月香ちゃんと一緒にいれるな。
入れ物の中から月香ちゃんを眺めていると、
今度は男の人が入って来た。
先程の女の人は判らないけど、男の人の顔には僕は見覚えがある。
確か月香ちゃんに暴力を振るって傷つけて泣かせた奴だ――!
“月香ちゃんから離れろ!”
“彼女をこれ以上傷付けるな!”
“指一本でも触れてみろ! 僕がお前を許さないぞ!!”
何とか月香ちゃんを助けようと体をジタバタ動かすけれど、男はそんな事を意に介さずに、月香ちゃんに馴れ馴れしく近付く。
……畜生。
畜生畜生!
また僕は月香ちゃんが苦しんでいるのに何もしてあげる事が出来ないのか。
こんな時、何にも出来ない自分が本当に厭になる。
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