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「ええ子やな…」
あの男は何時もそうだ。ああやって月香ちゃんに酷い事をする。
“月香ちゃん!”
“逃げるんだ!”
“早く逃げて!”
僕は一生懸命に体を動かすけれど、クソ、男と月香ちゃんの間に割って入れそうにない。
「久しぶりにおじさんとええ事しようか」
男は月香ちゃんにじわりじわりと距離を縮める。
“月香ちゃんに触るな!”
“本当にお前を許さないぞ”
“月香ちゃん、待ってて、今助けに行くから”
体をもぞもぞさせて入れ物から出ようとすると、下の蛞蝓でぬるんと体が滑ってなかなか外に出られない。
「月香ちゃん、ええやろ?」
男は月香ちゃんに手を伸ばした。
月香ちゃん、こいつに散々酷い目に合わされてるのに何故逃げようとしないのだろう。
彼女は不意に僕の方を見た。
そうか…。
・・・・・・
僕が側にいるから怖くないんだ。
「あ、おじさん怪我してる」
「ああ、これはさっき躓いてな」
「ちょっと待ってて」
月香ちゃんはそう言うと、僕の所まで来て、何時ものように僕から寄生虫を出した。
そして、男の傷に塗る。
すると何が起こったのか判らないけれど、男は途端にジタバタと苦しみ始めた。
天罰だ。月香ちゃんに酷い事をした報いを受けたんだ。
月香ちゃん。
僕達、悪い奴をやっつけたよ。
神様が僕のお願いを聞いてくれたんだ、何も出来なかったけれど、一生懸命月香ちゃんの側にい続けた努力が報われたんだ。
これで月香ちゃんに酷い事をする奴はいなくなった。
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