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夜も更けたビルの屋上に、一人また一人と少年が集まってくる。
一人は屋上から光の溢れる街を見下ろし、一人は腕を組んだまま壁に背中を預けている。
また一人現れた少年は屋上の真ん中まで歩みを進めると座り込み、そのまま倒れこむように寝そべると暗い空を見上げた。
『星、見えないな…』
ぼそりと呟いた少年に街を見下ろしていた背の高い少年が言葉を返す。
『光が溢れてるからね』
『だよねー』
笑いながら答えても、彼は体を起こす気配はない。そんな彼に背の高い少年が近づいていく。
『寝ちゃわないでよ、ハヤト』
『寝ないよ。寝ろって言われても寝れないって!僕、めちゃ楽しみにしてたんだから!』
『ははっ。顔に出てるよ』
そう言って背の高い少年がハヤトに手を伸ばすと、ハヤトは手を掴み返して体を起こした。
『サンキュー、リョウタ』
リョウタと呼ばれた少年はにっこりと笑う。その微笑みは夜の暗さを吹き飛ばしてしまいそうな程に眩しいものだった。
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