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『今日は見れるかな…』
エレベーターで地下の駐車場へとカップルが降りてきた。
女性の呟きに男が答える。
『確率は低いけど、そろそろこの辺来そうなんだよな…』
『あー、もう!できるなら毎日でも「神風」見たいよ』
『俺だって…』
彼女のボヤキを聞いて声をあげようとした男は顔を車が入ってくる方へと向けた。
遠くから叫ぶような声が近づいてくる。それは間違いなく…
『ひゃっほー!』
『いぇー!』
その声が聞こえて男は彼女と顔を見合わせた。
『「神風」だ!』
『マジか、やべー!』
そう言って声のする方に顔を向けると、彼女は携帯を構えた。
その途端、風を巻き起こすかのような勢いで少年達が駆け抜けていく。走り去る七人の姿を彼女は携帯のカメラにおさめようとする。
が、彼らはまるで風。
あっという間に消え去ってしまう。
タイミングが合わず、あーと声をあげた時
『Let's go!』
少年の一人がそう叫ぶと立ち止まり踊り始めた。
『うっそ!マジで?』
二人から少し離れた所で踊っていたのはアラン。アランは躍りを止めると二人に向かってウインクをした。そしてまた先を行く六人の後を追って走り出した。
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