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「あっ」 「しずくです、初めまして」 あたしの顔を見た瞬間声をあげた翔太に対し、あたしは仕事柄がっつり鍛え上げられた程よい細マッチョに飛びつく女ではないため、いかにもな仕事帰りのツナギ姿で来た彼らに思いっきり萎えた それなら多少仏頂面だったとしても断然真面目そうなスーツ姿の会社役員さんの方がいい もちろんあたしは翔太が初体験の相手の先輩であることにも気づかなかった 「うるみちゃん」 「は、なんで、え、どこかで以前お会いしましたっけ」 源氏名でしか呼ばれない空間で突如本名を呼ばれたため内心とんでもなく胸が高鳴ったが、必死に冷静さを取り戻した 「ほら、俺だよ、仲崎麻央の友達の」 「仲崎、えっ、もしかして翔太先輩?」 そこでようやく彼があのときの彼であることもあたしの初体験の相手だということも同時に思い出し、恥ずかしいようなこの場から消えたいような何とも複雑な苦い気持ちになった 翔太は建築の外仕事をしていて高校のころと比べるとだいぶ丸くなった気もするし、やっぱりルックスは良かった 何より彼があたしの妹の名前とあたしの源氏名が一致することに気づいていたのが驚きだった
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