プロローグ

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やがて陸斗の運転する車の助手席に座った。 もともと海に行くときに使っていた四輪駆動車を、ときどき陸斗に貸していた。その後マレーシアでの仕事が決まって、陸斗に譲った。 もっと学生らしく、軽自動車にでも買い換えろと忠告したけれど、陸斗は聞き入れなかった。 カッコつけたり、見栄を張ったりするところは、若い頃の俺にそっくりで、思わず苦笑いしてしまう。 ここから札幌までは電車も走っているし、冬道も危険だからと言ったけれど、陸斗は迎えに行くと言って譲らなかった。 息子の運転する車に乗るなんて、何年先のことだろうと思っていたのに。 気がつくと、俺も来年には五十になる。 息子がそんな年頃になるのも不思議じゃない。
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