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春香が私のドレスの裾を持ち上げてサポートしてくれる。
「ゆっくり歩いていいからね」
優しい言葉をかけられる。
ヒールの高い靴は履き慣れていない。
私の両側には、藤木さんと拓也くんが、支えられるように寄り添ってくれた。
私は、藤木さんの腕に捕まった。
歩き出したときだった。
「あのさ」と藤木さんが言う。
「拓也も春香も、色々とありがとうな」
「なによ改まって」
一瞬照れ臭そうにした春香だったけれど、すぐに「いつから呼び捨てになったんですか」と、口を尖らせた。
「とにかく、オマエたちのお陰だと思ってる。俺と理沙の気持ちを汲んでくれたんだよな」
「俺は、春香さんの言う通りに動いただけですよ」
拓也くんは春香を立てたつもりだろう。
でも藤木さんは、チャンスを見逃さなかった。
「拓也はせいぜい、尻に敷かれないように気を付けろよ」と言って笑った。
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