21 夢の続き

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「なんだか少し、酔ってきたな」 「本当に少しですか?」 もう何本のビールを飲み干しただろう。 藤木さんは、酔っても顔に出ることはほとんどないのに、今日は目が充血している。 「疲れてるんじゃないですか」 「大丈夫だって。気持ち良くなってるだけだから。それより、ちょっとトイレに行ってくる」 お色直しがないのだから、仕方がない。 退席するタイミングを、待っていたのだろう。 藤木さんは、スタッフと話をしていた拓也くんを手招きして呼びつけると、こっそりと告げて席を立とうとした。 すると拓也くんが、「ちょっと待ってください」と引き留める。 「もう少し、我慢できないんですか?」 「できない」 「だったら、急いで行ってきてください。巻きでお願いしますよ」
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