東陸一《あずまりいち》

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絶対に大丈夫だとわかっていても、身体が全部心臓になったようにドクドクと緊張した。 渋谷が座ろうとしていた椅子に手をのばし、スクールバッグのファスナーをゆっくり開けた。 フワッと甘ったるい匂いがして、一瞬怯んだけど、右手を内ポケットへ滑らせた。 馴染みのある感触がしてそれを掴んだ。 渋谷のスマホ。 今すぐに確かめたい気持ちを抑えて、それを自分のスクールバッグに押し込み、渋谷のスクールバッグのファスナーを閉めた。 .
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