東陸一《あずまりいち》

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ファスナーを開けてすぐさま渋谷に渡した。 今思い返せば、俺は渋谷の戦略に、無様なまでにハマってしまったのだ。 後ろめたいことのある人間は、サイコパスでもない限り、渋谷みたいな女に、かなうはずがない。 そう、今は思う。 スマホを渡すと、渋谷はにっこりと笑った。 「エレベーター来たね。東くん、早く乗って」 「あ、ああ」 .
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