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渋谷の胸倉をまた、つかんだ。引き寄せるといい匂いがした。
渋谷はそんな俺にやっぱりひるまずに、胸倉をつかまれたまま、笑ってこう言った。
「いくら私だって、死んだ人の事をこんな風に言うのは気が引けるのに、東君はやりたい放題だね?」
渋谷、今、なんて言った?
思わず力が抜けた。渋谷は声をあげて笑った。
「やっぱり、園美さんは、ちっとも元気じゃないのね?」
エレベーターは、一階に着いた、一階で待っていた人の一人が「下りないんですか?」と俺たちに尋ねて、初めて、俺は渋谷に嵌められたのかもしれないと思った。
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