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あくびをしていた従業員に、渋谷は、うまく何か言い、一番奥の席に案内してもらった。
「私、アイスコーヒー。東君は?」
「じゃあ、俺も」
メニューさえ見ずに、そう言わされた。
「もうちょっと、リラックスしてくれないと、変だと思われるわよ?」
「リラックスできるはずがないだろ?」
「そう? もう無理しなくてもいいはずよ。園美さんのことは、重たい秘密よね。どうして普通にお葬式をしないの?」
「何で、ねーちゃんが死んだと思うんだ?」
「東君の近所で、園美さんが駆け落ちしたって噂が流れていたからよ。家出じゃなくて、駆け落ち。家出は一人でできるけど、駆け落ちは一人じゃできないでしょ? だから、この噂は意図的に流した、デマだと思って。園美さんは良くて軟禁、悪くて監禁。もっと悪ければ死んでるのかもなって。園美さんは『死』っていうフレーズがとてもすきだったしね」
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