735人が本棚に入れています
本棚に追加
「自殺だよ……」
俺がそう答えた時の、渋谷の満足げな笑みは、今もこびりついて離れない。
「自殺。が、お葬式をしない理由にも、駆け落ちしたことにする理由にもならないわ。もう、東君と話してると時間がかかりすぎる。いい加減、信じてくれないかなあ、私が園美さんが死んだことを知ってること」
「俺、渋谷のいう事、何一つ信じられない」
俺がそう言った瞬間渋谷から笑みは消えて、鋭くにらみつけられた。
「何一つ、信じたくないだけでしょ? 現実逃避したんでしょう? しょっちゅうしてたんじゃない? 園美さんかわいそう。あんなに大事にしていた、弟に見殺しにされただなんて」
.
最初のコメントを投稿しよう!