東陸一《あずまりいち》

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渋谷が差し出した、自分の部屋に置いてある銀色のゴミ箱にすべてをぶちまけた。 「お前、これどうして?」 そう言った瞬間、俺の鼻から火が出た。渋谷は俺の顔面を膝蹴りした。あまりの痛みに、思わず鼻を押さえる。ポタポタと血が落ちてきた。 「お前とか言うな」 「はい……」 「園美さんね、死ぬ死ぬって、何度かメールくれたから、ほんとに死ぬなら、映像で残してほしいってお願いしてたの。あ、ほら見て、東君もちゃんと映ってる」 この時になって、俺はようやく気づいたんだ。 俺の目の前にいる、この女は……。 本物の悪魔だ。 .
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