東陸一《あずまりいち》

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なぜ殺されたのか、とは思わない。ただ、渋谷を殺せる人間がいるのだ。という事が、恐ろしくてたまらないのだ。渋谷は、人の弱みを見つける天才だったとしか思えない。 ――お姉さんのポルノでこんなにギンギンだなんて、変態すぎるよ―― 今まで、俺さえ知らなかった、真実を言い当てたのは、渋谷だけだった。 真実を知る唯一の存在であった、渋谷が死んだことに、言いようのない虚しさを覚える俺は、やはり狂っているのだろうか。 もうすぐ弁護士が来る。今日こそ、すべてを話すべきだと思う。 誰かがこちらに来る気配がする。 俺は深々と息を吸った。 .
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