南条拓也《なんじょうたくや》

9/54

731人が本棚に入れています
本棚に追加
/356ページ
母子家庭で、母親に軽度の知的障害があり、頼れる親戚が一人もいない。 ここまで、でも大変なのに、しいちゃんは売春していた。 耳をふさいでも聞こえる、母親と、母親にのしかかった男の喘ぎ声を聞くのが、どんなに惨めか、北山に話してやれたら、すっきりするだろう。 不幸の数を数えたら、北山にはそんなに負けない。 俺が何より不幸になってしまったのは、そんな『しいちゃん』が大好きだったせいだ。 .
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

731人が本棚に入れています
本棚に追加