南条拓也《なんじょうたくや》

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◇◇◇ 自分の名前すら書けなかったのに、2ヶ月遅れで入った小学校で、半年もすると、俺は他のクラスメイトよりも『勉強』に向いていることに気づいた。 そのことを、担任だった澤村先生はよく褒めてくれた。 しいちゃんと二人きりの生活のせいで、俺にはあまり常識がなかったけど、澤村先生のおかげで、どうにか誤魔化せた。 じっと他の子供達の様子を伺って「こどもらしいあたりまえ」を覚えなければならなかった。 しいちゃんの事を澤村先生以外に知られたくなかった。 自分がそう考えていることが酷く苦しかった。 .
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