南条拓也《なんじょうたくや》

11/54

731人が本棚に入れています
本棚に追加
/356ページ
けれど、どんなに俺が気をつけてみたところで、しいちゃんに障がいがあるのは、しいちゃんが話すのを聞けば分かってしまう。 ある日のお昼休み、給食の片付けをしていたら、クラスメイトの一人がこう言った。親が教育ママ代表みたいな感じで、俺が澤村先生に褒められる度歯ぎしりしているようなやつだった。 「拓也のお母さん、話し方変。大人なのに、こどもみたいなんだな『しいちゃん』だってバカみてえ」 秒殺でそいつに持っていた食器を投げつけて、飛び掛かった。 ケンカなんてもちろんしたことはなかったけど、そいつに馬乗りになって、引っ掻いたり殴ったりした。 騒然とした教室に澤村先生が戻って来て俺たちを引き離した。 「南条くん、三谷くん。何があったの?」 「南条がいきなり飛び掛かってきたんだよ!」 .
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

731人が本棚に入れています
本棚に追加