南条拓也《なんじょうたくや》

14/54

731人が本棚に入れています
本棚に追加
/356ページ
でも、澤村先生はしいちゃんが売春しているとは夢にも思わなかったみたいだった。俺は澤村先生にもそれを知られたくなかった。 澤村先生は、俺が小5の時に、定年を待たずに小学校を退職した。 癌を患って、仕事を続けられなくなったからだ。俺は同級生と行ったお葬式で、人目も構わず、わんわん泣いた。でもこうも思った。 沢山花が出された立派なお葬式、誰もが澤村先生の死を惜しみ悲しんでいた。俺も死ぬときこうありたい。初めて野望と言うものを持った瞬間だった。 .
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

731人が本棚に入れています
本棚に追加