南条拓也《なんじょうたくや》

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「お金もらえるから。申請は俺自分でするから。しいちゃんはついてきてくれるだけでいいんだ」 「生保なんて、しいちゃん、おかねあるから、お荷物じゃないから。それにたっくんが、学校でいじめられる、生保なんて、生保なんて……」 話し合いを続けると、たいていしいちゃんは、パニックをおこして、わあわあ泣いた。 しいちゃんは施設にいた時、散々な虐待をうけていた。「生活保護」というキーワードは、そのトラウマを刺激してしまうようだった。 学校でいじめられる方が、よっぽどましだと言ってもしいちゃんには分からないみたいで、何度話し合っても上手くいかなかった。 .
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