南条拓也《なんじょうたくや》

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男の顔から、笑みがすうっと消え、男はポケットから煙草を取り出して、火を点けた。夕方の河原は、ジョギングをしている人と、犬の散歩をしている人がちらほらいるだけだった。 「お前、俺を呼び出したってことはさ、お前の母ちゃんが何してるのか知ってるってことだよな?」 「はい」 思わず唇をかみしめた。 「じゃあ、俺が何してんのかも知ってるってことだよな? だったら、何で俺がお前の頼みを聞かなきゃいけないんだよ。しいちゃんは、まあ、JKに比べたら年増だけどよ、あいつはどんなキモイ客でも嫌って言わねえ。 AFもオッケーだし、マニアックな客の相手もできる、すっげえ、貴重な人材なわけ。分かる?」 かあっとなんて、猫背男に体当たりをしたけど、振り払われて、逆に殴られた。 .
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