南条拓也《なんじょうたくや》

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骨が砕けて、顔の半分がなくなったんじゃないかと思うほどの痛みにうずくまった。 猫背男はうずくまった俺を見て溜息をついてからまた、煙草に火を点けた。 「殴って悪かったよ。でも、お前だって本当はわかってるんだろ? お前が俺を追っ払ったところで、また俺みたいな男がでてくるか、そうじゃなくて、ひとりでも、お前の母ちゃんは客を見つけてくるよ。だってしいちゃんは……」 「……。うるさい。言うな……。もういい……」 俺がそう言うと猫背男は煙を連れて、俺の視界から消えた。 .
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