南条拓也《なんじょうたくや》

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「ちがうんだ……」 「ごめんね、たっくん、いたかったねえ」 しいちゃんに抱きしめられながら、俺は思った。しいちゃんは俺のことが本当に大好きなのだ。 だったら、俺が取るべき行動は……。 「たっくん、痛くなくなった?」 涙が乾いた俺を見て、そう言うしいちゃんに本当はまだ痛かったけど、頷いた。 この日、俺は悪魔に魂を売り渡すような気持ちで、ある決心をした。 こんな生活から這い上がりたい。 それだけが、俺の頭を占有するようになっていくのは止められなかった。 .
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