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カオリンは、しばらくじっと考えていた。
「それだけ? で止めたの?」
「ああ」
「私は、きっとしいちゃんに彼氏ができたからだって思ってたんだけど。違うんだね」
まずい。と思った。カオリンは俺の予想よりずっと頭がいいみたいだった。
「残念ながら、そうじゃないんだ」
「ふうん」
カオリンはじっと、俺の目を見ていた。ポリグラフにかけられている気分になる、視線だった。
「あ。私そろそろ帰らないと。また遊びにくるってしいちゃんに言っといて」
「うん、分かった」
カオリンが帰って、深々とため息をついた。カオリンには何もかも分かっているのではないかという、焦りに俺は怯えた。
西中の援デリ少女。
なるべく接点を持たずに、生活できるはずだと、思っていた。
でも、そう上手くは行かなかった。
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