南条拓也《なんじょうたくや》

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◇◇◇ カオリンは時々やってきては、しいちゃんと話をしていた。特に問題もないだろうと思っていた。しいちゃんが援デリで働いたことと、西中女子のカオリンが働いていること、は等価の秘密で、おまけにカオリンと俺では接点がなかったから。 俺が困るような事はないだろうと考えていた。 しいちゃんはカオリンが来ると手放しで喜んでいたし、二か月もすると、不思議なもので、最初の警戒心は薄くなっていった。 カオリンは何も話さなかったけど、カオリンにもそれなりの事情があって、援デリで働いているんだと思うと、知らず知らずのうちに優しい気持ちになっていったのも否めない。 大きな問題になったのは、四月になってからだ。 .
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