南条拓也《なんじょうたくや》

37/54

731人が本棚に入れています
本棚に追加
/356ページ
「たっくんにお願いがあるんだけど」 しいちゃんに会いにうちに来た、渋谷がそう言った時、東の家を見ていなければ、渋谷のお願いはもしかしたら聞いていなかったかもしれない。 「何だよ?」 「私の彼氏になったふりをしてほしいの」 「はあ? なんで?」 「最近、東くんの様子がおかしいの。私の後をつけたり、鞄の中を見たりするの」 「え! 東がそんな事を?」 「ちょっと、気持ち悪いから、やめさせたいんだけど、はっきり言うのも、つらいから、私とたっくんが付き合ってることにしたら、少しは思い直してくれると思うんだよね」 「そういうもんか? 逆上したりするんじゃないのか?」 「逆上とかはしないと思う。東くんはなんだかんだ言って、ボンボンだから、こそこそしたことしかできないはずよ」 .
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

731人が本棚に入れています
本棚に追加