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「たっくんにお願いがあるんだけど」
しいちゃんに会いにうちに来た、渋谷がそう言った時、東の家を見ていなければ、渋谷のお願いはもしかしたら聞いていなかったかもしれない。
「何だよ?」
「私の彼氏になったふりをしてほしいの」
「はあ? なんで?」
「最近、東くんの様子がおかしいの。私の後をつけたり、鞄の中を見たりするの」
「え! 東がそんな事を?」
「ちょっと、気持ち悪いから、やめさせたいんだけど、はっきり言うのも、つらいから、私とたっくんが付き合ってることにしたら、少しは思い直してくれると思うんだよね」
「そういうもんか? 逆上したりするんじゃないのか?」
「逆上とかはしないと思う。東くんはなんだかんだ言って、ボンボンだから、こそこそしたことしかできないはずよ」
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