南条拓也《なんじょうたくや》

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「……。彼氏になったふりって何するんだよ?」 「付き合ってるって、公言して、時々一緒にいるところを見せるくらいで十分よ。ね、やってくれる?」 「別にいいけど」 「そう。よかった。助かる」 こんな事情で、渋谷の彼氏の振りをしていた。確かに最初は渋谷に東がつきまとっている感じはしたけど、すぐにそれもなくなった。 すぐに彼氏の振りを解消すれば、今こんな困ったことにならなかったはずだ。北山はあんなことを言っていたけど、警察が、16年前の殺人鬼が今になって現れるとは思わないはずだ。 東が渋谷を殺したのでなければ、次に疑われるのは間違いなく、渋谷と付き合っていたことになっていた俺だろう。 .
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