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◇◇◇
充実していた毎日に陰を落としていたのは、しいちゃんの存在だった。
「たっくん、帰ってくるの遅い」
「たっくん、おなかすいた」
「たっくん、眠たい」
しいちゃんは、どんどんこどもみたいになっていく。どうにかなだめていたけれど、苦痛でたまらない時もあった。
洗濯をして、掃除をして、ご飯を作って。その上、特待生の条件を満たすために、人一倍勉強をしなければいけない。
そして、なにより大変なのがしいちゃんのご機嫌とりだった。
もしまた、しいちゃんが援デリなんかを始めて、バレたら、今まで俺が必死になって、綺麗に積み上げてきたものが、ジェンガのように崩れてしまうのが目に見えていた。
爆弾のタイマーを延長しても、爆弾が爆弾な事にかわりはなかった。
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