南条拓也《なんじょうたくや》

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◇◇◇ そして、あるとき、タイマーが延長できなくなった。 二学期の半ば。文化祭の準備でいつもより、忙しかった。郷土資料研究会にもあまり顔は出せていなかった。 「南条先輩、ちょっと」 生徒会室で仕事をしていたら、渋谷が来た。 「ごめん。今忙しいから後でもいい?」 「後じゃだめかも、ちょっと来て」 他の生徒に断わってから、渋谷の後について行った。 「中庭も、教室も、グラウンドもダメだね。人がいっぱい」 「人気のないとこじゃないと話せないようなことなのか?」 「うん。そうだ、部室なら、誰もいない」 確かに、本館なら、文化祭の展示とかに利用しないから、人はいない。でも、生徒会室から遠いから、素直にはうなずけなかった。 そんな俺の様子も気にせず、渋谷は歩き始めた。 .
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