南条拓也《なんじょうたくや》

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「しいちゃん? どういうことだよ!」 家に帰って、布団でうとうとしていたしいちゃんを揺さぶって問い詰めた。 「たっくん、どうしたの?」 「もう、出会い系とか、援デリはしないって言ってたのに、また、出会い系してるんだろ?」 しいちゃんは、俺から目を逸らした。 「こんなことして、だれかから、お金貰ったりしたら、ダメだって、俺、何度も言ったよね? まずいんだって。井口さんにばれたり、俺の学校にばれたりしたら。特に学校。学校行けなくなるのほんとに困るんだって、しいちゃん、携帯出して」 「やだ」 「出せ!」 「やだ!」 「出せっていってんだろーが!」 しいちゃんを、突き飛ばして、しいちゃんから携帯電話を奪った。しいちゃんは、ぐすんぐすんと泣きじゃくっている。 「これ、アカウントどうなってるんだ、しいちゃん、パスワードは?」 「しい、つくってもらったから、わからない」 .
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