北山耕平《きたやまこうへい》

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それを、つきつめて考えてみると、渋谷さんが数合わせで僕を勧誘した。というのは、渋谷さんのついた嘘だったのではないのかと思えて仕方ないのです。 「北山くん、郷土資料研究会って、南条先輩がいるんだよね? 南条先輩ってどんな感じ?」 「北山、お前、渋谷さんと仲良いの? え? 何で? 西山さんも!? 俺も郷土資料研究会入りたいわー」 「リッチー、サッカー部だと思ってたのに、まさかの文化系。でもリッチーいるなら楽しそう」 こんな感じのことを、度々クラスメイトから、言われました。 人数合わせなんて、いらなかったはずです。 実際、同好会に入りたい希望者はいたみたいなのですが、渋谷さんは断っているようでした。 僕がそれについて尋ねると、 「あまり人が増えても、面白くないの。いいのよ。これで」 と、不明瞭な返事をするだけでした。 .
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