南条拓也《なんじょうたくや》

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「作って貰ったって、誰に?」 「いっちゃダメなんだって」 「いっちゃだめ? なんだよそれ。誰だかしらないけど、そいつにもう絶対会うな!」 「やだ」 「マジで、困るんだって」 「しいはこまらないよ」 「は?」 「たっくん、こうこうにいってから、なかなかかえってこなくて、しい、さみしい。それにつかれたつかれたばっかり。こうこうなんて、やめちゃえばいいんだよ」 しいちゃんの言葉に、一瞬。パンと理性が弾けそうになった。しいちゃんは何にも分かってない。だから、こんなひどい事が言えるんだ。だから、どうにかなだめないと。 「やめたくないんだよ。だから、一生懸命がんばったんだ。ねえ、お願いだから、俺のいうこと聞いてくれよ」 「がんばって、だいがくにいくの? そしたらいえをでていくの? しいそんなのいやだ。たっくんはしいのかぞくだもん。ずっといっしょにいないとだめ」 .
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