南条拓也《なんじょうたくや》

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裕子さんと呼ばれた人が渋谷を呼んでから、しばらくすると、渋谷は外出して、何かを買出しに行った。 そこから、耳鳴りがするくらい、フードプロセッサーを回すような、モーター音が聞こえた。 一晩中いろんな物音が聞こえて、俺はまんじりともしなかった。 音の中でも、一番耳に残ったのが、渋谷がおびえた男女を褒めちぎる声だった。 「やっぱり、出来るじゃない。裕子さんも、世一さんも。あとは、園美ちゃんと同じようにしてあげないとね」 「は、はい」 夜更けにその作業が終わると、本当にしいちゃんは跡形もなくなっていた。 .
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