南条拓也《なんじょうたくや》

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渋谷がしいちゃんのことが好きだと言ったことに嘘はないだろう。だから、こんな真似をさせたのだろうか?  渋谷が死んでしまった今、真実は闇の中で、俺が母親殺しだという事実だけが残る。 ――レニーを殺してはいけなかったのに―― 渋谷の言う通りだ。しいちゃんがいるから、見れた夢だったんだ。俺は今昔みたいにごみ溜めのような部屋の中で、レトルトカレーを食べている。 自首する勇気もなく、警察がくるのを、ただ、待っているだけだ。 .
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