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小さい時から、怖くて聞けない事だけじゃなくて、怖くて言えない事が沢山あった。
「緋音ちゃんピアノ習いましょうか?」
「緋音ちゃん、塾なんて女の子は行かなくてもいいのよ」
「緋音ちゃんは西山家の跡継ぎなんだから、お婿さん貰わないとね」
「椿ヶ丘に行きたい? うちからだと遠いわ。大学? ママは短大くらいがいいと思うの」
ママのいう事は絶対だった。
ママは、私が赤ちゃんの時、私の父親と離婚して、女手一つで私を育ててきた。たんぼを近所の西山の本家筋に貸して、ホームセンターでパートして収入を得ているらしい。
親孝行したい気持ちは小さいころからあったけど、ブラジャーの事と、婿養子の事で、中学生くらいから、ママに対して小さな反発を覚えていた。
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