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それでも、きっと、ママが優しいから、嫌われてるあの子を、呼んだのだと、思っていたから、無邪気に自分のお誕生日会を楽しんだ。
楽しくなくなったのは、みんなが帰って、私が小西くんの話をママにした時だった。
「ママ、小西くんってすごいんだよ。クラスで一番賢くて、ピアノも私より上手なの」
「そう……」
ママはその時食器を洗っていて、こちらに顔をむけなかったから、私はムキになって、小西くんがどんなにすごいか話した。
そうするとママは、ガシャンとグラスを割った。
「でも、あの子、長男よね。おまけにひとりっ子。だから、緋音ちゃんとは関係のない子よ」
「え?」
「それに、ママ、あそこのお母さん苦手よ。小西くんと仲良くするのはほどほどにしたほうがいいわ」
ママの言う事が絶対だった私は、ママがこんな風に言った事で、小西くんに対する気持ちが萎んだ。
ママがああ言うのには、私の為を思って色々考えがあるのだと、あの頃は信じていたから。
「緋音ちゃんが、世界で一番好きよ」
と言ってくれる、ママのことを、信じたかったから。
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