西山緋音《にしやまあかね》

20/57

731人が本棚に入れています
本棚に追加
/356ページ
「ずっと、西山さんに子どもでいて欲しい願望があるのかな?」 「それはないと思う。婿養子貰って、子供産んで欲しいっていうのがママの希望みたいだから。子どもじゃ子ども産めないもん」 「婿養子? なんか大変だね。ねえ、西山さんは、万引きがしたいって、感じじゃなくて、ブラジャーが手に入りさえすればいいんでしょ? だったら、バイトしない?」 「バイト? 中学生じゃ無理じゃない?」 「バイトって言い方変かな。メールとかするだけだから、時間のある時にやって くれるだけでいいんだけど」 「簡単?」 「超絶簡単。やる?」 私はこくんと頷いた。万引きしないですむなら、きっとその方がいいから。 「じゃあさ、とりあえず連絡先教えてくれる」 「うん」 私たちはスマホを取り出した。その時になって「あ!」と思った。 「ねえ、名前教えて」 「あ。そっか。私渋谷唯香」 これが、私と唯香の出会いだった。 .
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

731人が本棚に入れています
本棚に追加