西山緋音《にしやまあかね》

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◇◇◇ 万引きをあのまま続けていたら、いつかは捕まっていたかもしれない。捕まっていたら、椿ヶ丘にも入学できなかったかもしれない。そう思うとゾッとする。 椿ヶ丘に入れば、すくなくとも「アイツ」はいないし、「アイツ」みたいな生徒もいないはずだ。 中三になって、塾に入りたいと言ったら、ママは反対した。 「緋音ちゃんの成績なら、東高なら、余裕があるわ」 「ママ。私は椿ヶ丘に行きたいの」 「ママは塾に行ってまで椿ヶ丘に行かなくていいと思うの」 他の子のママは受験に協力的なのに。この時期私は怒りで体が膨らんでいるような気がした。 もう中三なのに、ママはあいかわらず、私のブラジャーを見つけたら、捨ててしまう。唯香のおかげで、いくらでもブラジャーは買えたけど、ストレスは減らなかった。 .
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