西山緋音《にしやまあかね》

24/57

731人が本棚に入れています
本棚に追加
/356ページ
「勉強しよっか」 「うん」 黙々と教科書や、参考書、問題集をめくった。時々、分からないところは、唯香が教えてくれた。 「そろそろ、お昼にしよっか」 「うん。どうする? コンビニ行く?」 「園美さん、冷蔵庫のもの使っていいって言ってたから、なんか作る。苦手な物ある?」 「え? 唯香って料理できる人?」 「うち、お母さん、家事何もしない人だから。うちも母子家庭だし」 「え? そうなの?初耳」 「恥ずかしい話なんだけど、私が10歳の時に蒸発しちゃったの。たぶん、女の人が一緒だったんたと思う」 「へえ。そうなんだ」 「緋音の家は離婚してるんだよね? お父さんに会ってるの?」 「私、会ったこと、ないんだ」 「会ってみたいとは思う?」 「いつもじゃないけど、時々はそうおもうかも」 ママがうっとりと。婿養子の話をするときとか、勉強の邪魔をするときとか、ブラジャーが根こそぎ狩られてしまった時に、父親がいたら、何か違っていたかも。 そう思わない事もない。父親が今もいたら、私に弟がいた可能性だってあったかもしれないのに。 なんで離婚したのか、何度かママに聞いてみたけど、詳しく教えて貰えた事はない。 .
/356ページ

最初のコメントを投稿しよう!

731人が本棚に入れています
本棚に追加