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「ねえ、せっかく、夏休みなんだし、勉強ばっかじゃつまんないから、緋音のお父さん探してみない?」
「でも……」
「緋音お父さんなら、かっこよさそう。ね、探してみようよ」
「うん」
唯香が作ってくれたのはオムライスだった。食べながら、少しだけ、ママに罪悪感を覚えた。私は料理なんて、家で何一つ、したことがない。ママが作ってくれたものを食べるだけだ。ママに反発する、資格なんて本当はないかもしれない。
「緋音、どしたの?」
「ううん。なんでもない」
私も料理してみよう。その日はそう思いついて、足取り軽く、自転車をこいで家に帰った。
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