731人が本棚に入れています
本棚に追加
/356ページ
「別に男の人だったとしてもいいのよ? 婿養子になれる人なら」
「ママ、本当に最低。私のこと心配してるわけじゃないんだね。婿養子になれる人だったらいい。なんてありえないよ。普通の親ならもっとちゃんと心配するよ」
「そうした方が緋音ちゃんが幸せになるから、言うのよ」
「私、そんな幸せ、いらないよ。ママはこの土地で、この家で、ちっとも幸せそうじゃないのに、なんでそんな事が言えるの?」
「ママは、幸せよ。ここで、一生緋音ちゃんと一緒にいられたら」
「ママが、幸せでも、私が全然幸せじゃない!」
「大丈夫よ。絶対に幸せになれるわ。緋音ちゃんの名前はね、スカーレット・オハラから取ったのよ?緋音ちゃんの『緋』はねスカーレットの緋なのよ。スカーレットも最後はタラに帰るの」
ママの愛読書は『風と共に去りぬ』で、私は一度も読んだことはないけど、主人公の名前がスカーレット・オハラだということくらいは知っていた。
自分の名前の由来を、この時初めて知った。
こんな呪いがかけられていたとは思いもしなかった。
.
最初のコメントを投稿しよう!