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うっとりとした顔で遠くを見るママ。
どこもかしこも、脂肪を蓄えてまるまるとした身体。
頭頂部に沢山混じっている白髪。
離婚してから、恋人がいたことなんか多分ない。
あまりにも、惨めなママ。ママが惨めなことを認めたくなかった私。
ママは私さえ、いれば幸せ。そんなのは嘘だ。
ママには、私しかいないんだ。
夢も希望も、娯楽も、私なんだ。
「ねえ、緋音ちゃん、本当のことを言って? 男の人でしょ?」
返事をする気になれずに、私は自分の家に閉じこもった。
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